高血圧 症状
高血圧の恐怖
高血圧は、自覚症状があまりない病気です。しかし、油断して、あるいは、気づかないで治療せずに放置していると、いきなり重篤な症状を引き起こすケースも少なくありません。
日本人の死亡原因を調べてみると、最も死亡率が高いのはガンですが、続いて脳血管疾患や心疾患など循環器系の疾患が挙げられます。これらの疾患は、高血圧に深い関わりがあるといえる病気です。したがって、ある意味ではそれら循環器系の疾患の死亡率を合わせれば、日本人にとって最もリスクの高い疾患だということもできるでしょう。そして、その根本的な原因が高血圧にあることも少なくないのです。
糖尿病などほかの生活習慣病に対しても言われることですが、「サイレントキラー」なる言葉があります。これは、自覚症状がほとんどないわりには、合併症が一度発症すると重病になる可能性が高い、もしくは、死に至るような怖ろしい病気を指す言葉です。高血圧もまさに「サイレントキラー」の一つであり、気づかないうちに忍び寄ってあなたを死に至らしめる可能性のある怖い病気なのです。普段から健康診断を心がけ、一度高血圧と診断されたときには長期にわたって積極的に治療に勤める必要があるのです。
高血圧の進行
高血圧は急に進行するものではありませんが、すぐに治るものでもありません。患者は焦らず、時間をかけてゆっくりと治療に取り組む必要があります。
高血圧は、治療がうまく行っていれば徐々に軽快していく場合も多いのですが、年齢などその他もろもろの事情によって治療が上手くいかなかったり、あるいは、治療を中断してしまったり、そもそも高血圧に気づいて居らず放置していた場合などには、徐々に進行して悪化してしまいます。その場合は、血圧が上昇するなど一時的な症状としても表れますが、怖いのは内臓に与えるダメージです。
血圧のコントロールが上手くいかず、高血圧状態が続いていると、血管壁に余計な力が加わり続けるので血管障害が起こりやすくなります。中でも、心臓そのものや脳、腎臓などの重要な臓器に与える影響は深刻です。ポンプの役割をしている心臓に負担がかかると心肥大や心不全が起こりやすくなります。また、脳には無数の細かい血管が走っているので血管障害が起こると、脳出血や脳梗塞、くも膜下出血などとして現われます。また、高血圧によって腎臓に現われる症状としては腎硬化症などがあります。
高血圧の自覚症状
高血圧になったらすぐに気づけばよいのですが、高血圧はハッキリとした自覚症状がないため、なかなかそうはいきません。例えば、人によっては高血圧が進行してくると肩こりを感じたり、頭痛が酷くなったりすることがありますが、これらの症状は日常的に感じている人も多く、別の原因も考えられすぐに高血圧だと気づくのは困難です。
実際には、日常的に血圧を測るくらいでないと、高血圧を自分で発見することは難しいのが実情です。一般の人が自宅で日常的に血圧計を使うというのは現実的ではないとして、せめて定期的な健康診断を受けて早期に発見しておきたいところです。
意外にありがちなのは、検診で高血圧だと指摘されても、そのまま放置してやり過ごしてしまうということです。病気と闘うのはなかなか勇気が要るものです。逃げたい気持ちも分かりますが、病気が進行しないうちに早めに対処しておいたほうがよいでしょう。
現在、高血圧の治療を受けている人は700万人いるといわれています。しかし、実際にはより多くの潜在的な患者がいると推測されているのです。自覚症状がないからといって、油断することのないように気をつけるようにしてください。
高血圧の症状
高血圧それ自体が、目立った症状として表れるということはほとんどありません。高血圧とは慢性的に血圧が高くなっている状態ですが、いわば体の調節機能が失われている状態で、顕著な症状を引き起こすようなものではないのです(それゆえに「サイレントキラー」と呼ばれているのです)。
しかし、日常的に起こる症状をよくよく観察してみると、実は高血圧が原因だったということはありえます。どれも些細なものですが、複数の症状が当てはまるという人は特に注意が必要です。
日常的に引き起こされる些細な症状としては、肩こり、頭痛、めまい、動悸、息切れ、耳鳴り、顔の火照り、吐き気などがあります。見ればわかる通り、これらの症状は別の原因をもっていることも多く、特別な症状でもなくしょっちゅう起こることなので、これだけで高血圧と判断するのはやはり困難だといえるでしょう。しかし、これらの症状が頻繁に起こる、あるいは、複数の症状が当てはまるという人は、一度高血圧を疑ってみてください。
加えて、高血圧を見逃さないために、最低でも年に一回程度は健康診断を受けるようにしてください。
高血圧の合併症
高血圧になると、血管を流れる血液の圧力が慢性的に高くなってしまいます。すると、血管にとっては常に負担がかけられている状態です。こうなると血管壁が傷みやすく、また、血液を送り出すポンプの役割を果たしている心臓などに負担をかけることになります。
具体的には、高血圧が維持されていると心臓は過大な負担に耐えるために、心筋を増やして体積が大きくなります。この状態を「心肥大」といいますが、この心肥大は高血圧の一つの目安とも考えられます。また、血管、特に動脈部分は高い圧力を受けているので障害を起こしやすいということもありますが、圧力に耐えるためだんだんと堅くなっていきます。これを「動脈硬化」といいます。動脈硬化になると、血管の弾力性が失われるので、さらに血管障害を起こしやすくなってしまうのです。
動脈硬化などの影響で血の巡りが悪くなると、血が固まって血管がつまったりすることがあります。そうすると血液の流れが止まって一部が虚血状態になります。心臓の虚血は、「心筋梗塞」や「狭心症」と呼ばれています。脳の血管障害、虚血などの場合は「脳梗塞」と「脳出血」など「脳卒中」と呼ばれる症状を引き起こします。これらはどれも一度の発作で命を失ったり、助かっても後遺症の残りやすい怖ろしい病です。
リスクによる分類
高血圧による合併症は、脳卒中や心筋梗塞などが最も怖ろしく、発症頻度の高い代表的なものですが、その他にもさまざまな合併症が知られています。例えば、腎不全、眼底出血などがよく知られていますが、高血圧がそのほかの臓器障害などの原因になることもあります。
これらの臓器障害はさまざまな危険因子、例えば高血圧のほかに糖尿病を罹患している方はより高い発症リスクを持つことになります。危険因子にはほかに高脂血症(高コレステロール血症)、喫煙などがありますが、これらの有無から判断して、臨床においてはリスクを3段階に分けられるのが一般的です。
細かい分類方法は省きますが、10年以内に脳卒中あるいは心筋梗塞を発症する危険性が15パーセント未満を低リスク、15~20パーセントは中リスク、20パーセント以上を高リスクと診断されています。
高血圧のほかに糖尿病を抱えている人はそれだけで高リスクと判断されます。というのも、高血圧も糖尿病もどちらも腎臓や循環器系の内臓に与える影響が大きく、いわば相乗的に合併症のリスクを高めてしまうからです。高リスクと判断された人は積極的に治療に取り組まなければならず、厳格な血圧コントロールが必要とされることになります。
高血圧による腎臓障害
高血圧というと心臓や脳に対する影響ばかりが注目されがちですが、もう一つ影響を受けやすい内臓として腎臓があります。心筋梗塞や脳卒中など命と直結しているわけではないと考えるかもしれませんが、腎臓障害が進行して腎不全となると紛れもなく重症です。
腎臓は血液から代謝などで使われていらなくなった聾唖異物を濾過している臓器です。濾過されたものは尿として排出していますが、実は腎臓自体は2対の空豆程度の大きさしか無い臓器です。しかし、その働きは重要で、腎臓が正常に機能しないと人工透析が必要になるなど、なくてはならないものなのです。
腎臓の内部は微細な毛細血管が集合しています。そのため、動脈硬化などで血流が悪いなるとその影響を受けやすく、腎臓の働きが阻害されやすいのです。酷くなると腎硬化、腎不全へと進み、最終的には糖尿病による腎不全と同じように人工透析を必要とします。実は、人工透析を必要とする理由の第三位が高血圧というほどに、高血圧によって腎臓障害を患う人は少なくないのです。
高血圧に対する医療は日々進化し、高血圧症の患者の寿命は確実に延びていますが、皮肉にもそのことによって、老化と共に悪化しやすい腎臓障害で人工透析を必要とする人が、増えているという事実があります。できるだけ早い時期からの予防が必要になってきます。
