高血圧 食事
高血圧の食事療法
高血圧は慢性疾患であり、治療に際しては生活習慣全体を見直すことが最も肝要です。なかでも、食事療法が治療における大きな役割を担います。
高血圧の症状が進んでいない人も進んでいる人も、食事療法による治療は不可欠になってきます。ですが、食事療法といっても、特殊な食事を摂らなくてはならないといったものではありません。簡単にいえば、理想的な体重で健康的な生活が営めるようなバランスの取れた食事を目指すわけです。しかしながら、高血圧の人は症状に応じて、血圧上昇に関係する食材を意図的に避ける必要が出てくることもあるでしょう。
例えば、塩分を取りすぎると血圧が上昇してしまいます。日本人は特に塩分摂取量が多く、平均では一日あたり6gも過剰だという指摘もあります。塩分の一日の推奨摂取量は6gなので、平均で必要量の実に2倍も摂取していることになります。いままで無自覚だった人は、とにかく極力塩分を控えるようにすることが大切です。
急に食生活を変えることはなかなか容易ではありません。時間をかけて少しずつ、健康的な食生活を送ることができるように努力していきましょう。高血圧の治療だけではなく、長寿のためにも役立ちます。
食事療法の基本
食事療法とは、健康的な食生活を送ることを意味します。
まずは、現代人にとって食塩の制限が必要不可欠といえます。具体的には、味付けを薄くすればよいのですが、食の欧米化などの影響もあり、ほとんどの人の嗜好が濃い味付けに傾いているのが日本人の実態です。したがって、味が薄いと感じるときは、香辛料や薬味などによって香りを加えてごまかすとよいでしょう。
外食は濃い味付けが主流です。そのほか、インスタントラーメンやレトルト食品、干物など保存食は塩分が強いものが少なくありません。一人暮らしで料理が得意でないという方は特に気をつけるようにしてください。
反対に、高血圧を軽減させたり進行を予防するために、必要な栄養素というものがあります。タンパク質はその一つです。肉には資質も多く含まれるので、魚や大豆などを積極的にとって、タンパク質を確保すると良いとされています。ただし、過剰なタンパク質は腎臓に負担がけけることになるので、腎臓に不安を抱える人は注意してください。
また、野菜や果物に多く含まれるカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルを積極的に摂取しましょう。このようなミネラルは加工食品では栄養分が失われていることが多く、新鮮な野菜でないと効率的に摂取できません。なるべく生の新鮮な野菜を摂るようにしましょう。
具体的な方法
食事療法を効率よく続けるために、いくつかテクニックを紹介します。
過剰な塩分摂取を避けるためには、味付けに工夫するとよいといわれています。最初から、塩分の少ないものを選ぶことも大事なのですが、慣れない内は味の濃いものを食べたくなることも多いでしょう。
そういうときは調理法を工夫します。酸味は塩味に近い味わいをもららしてくれます。レモン、すだち、かぼすなどの柑橘類や酢を料理の味付けに取り入れてみてください。また、香辛料も塩分を減らした味付けには便利です。香辛料による辛みや香りをふんだんに使えば、塩分を減らした事による薄味をごまかしやすいのです。とうがらしやコショウ、カレー粉などの香辛料もよいですが、ゆず、しそ、みょうが、ハーブなど和食の伝統的な食材もよいかもしれませんね。これだけで大分塩分摂取を減らすことが出来ます。
気をつけなければいけないのは、漬け物や汁物、かまぼこ、はんぺん、薩摩揚げなどの練り物には、比較的塩分が多く含まれているということです。これらの食品は、和食・自然食なので健康食と考えられがちですが、摂りすぎると塩分過多になってしまいます。
大前提として、食べ過ぎると総量として塩分摂取が増えてしまいますし、肥満の原因にもなってしまいます。食事量そのものを制限していく必要があるといえるでしょう。
肥満や飲酒
肥満は高血圧の大敵です。肥満じゃないからといって、高血圧でないとは限りませんが、実際問題、肥満を解消することが高血圧の治療に直結していることも少なくありません。
肥満を解消するには、カロリー制限をすると効果的ですが、そのためにはまずは脂質の過剰摂取を避けることです。脂質にもいくつかの種類がありますが、特に動物性脂質の取りすぎは、コレステロール値を高め、動脈硬化の原因にもなります。そういったことを防ぐためには、牛肉などのLDL(悪玉)コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品を避けて、反対に不飽和脂肪酸を多く含む食品を摂るようにしましょう。不飽和脂肪酸とは、EPA(エイコサペンタエン酸)や、DHA(ドコサヘキサエン酸)などのことです。不飽和脂肪酸を多く含む食品には、イワシ、マグロ、サンマなどの青魚が挙げられます。
飲酒は、肥満に繋がったり、また、飲酒そのものが高血圧を進行させる原因になることがあります。実際に、飲酒週間のある患者さんが、1週間以上の禁酒を実行するとそれだけで血圧が下がることが少なくありません。
しかし、実は適量の飲酒は、コレステロール値をさげ、血管からLDL(悪玉)コレステロールを運び去ってくれる効果があることもわかっています。したがって、どれくらい飲むのかが大事なのです。ある研究によれば、一日に1合くらいが適量と報告されています。
高血圧と塩分
食塩を摂りすぎると血圧を上げてしまいます。これは世界中の研究で明らかにされていることで、疑いようのない事実です。高血圧の食事療法のなかでも、もっとも中心的な役割を果たすのは塩分の摂取量を制限することでしょう。
ただし、遺伝によって、塩分に対する感受性が違ってくることもわかっています。同じような食生活をしていても、塩分の影響で血圧が上がってしまう人が居るのに対し、まったく影響を受けない人もいます。高血圧の人が、親類にいる人などに塩分に対する感受性の強い人が多いのですが、正確に計測する方法は確立されていません。したがって、どんな人も塩分過多に気をつけなくてはならず、特に高血圧と診断された人はより厳しい管理が必要となってきます。
現在、日本人に推奨されている塩分摂取量は1日10gです。ただし、高血圧と診断された人はより減塩効果が期待されるので1日7g以下が推奨されています。7gというと、小さじ一杯チョットです。割と多く感じられるかもしれませんが、見えない部分で塩分は使われているものなので、実際には大変厳しい管理が必要といえるでしょう。日本人の食塩の平均摂取量は一日11g~12gと言われています。つまり、周りの人や今までの自分と比べ、塩分摂取を約半分にしなければならないのです。
たとえば、食パンにはすでに塩が調味料として配合されていますし、コンビニで売っているようなおにぎりも、当然、食塩で味付けされています。主食でこれですから、いかに加工食品、外食でたくさんの塩分を摂っているかということがわかります。
高血圧とカリウム
食塩というのは、塩化ナトリウムのことです。天然の塩にはミネラルなど不純物が含まれていますが、塩の主な成分は塩化ナトリウムです。
ナトリウム(塩)は、ミネラルの一種です。ミネラル成分の全般にいえることですが、ミネラルは健康維持には欠かせないものですが、過剰に摂取するとさまざまな病気を引き起こす原因にもなります。というのも、ミネラルはほかのミネラルと連携して、身体の代謝に役立っているからです。
ナトリウムはカリウムと一緒になって、細胞膜を出たり入ったりすることで、体内の水分量調節をしています。このペアで働いているということが重要で、それゆえ、カリウムはナトリウムを排泄する作用を持っています。したがって、高血圧の治療には、ナトリウムの摂取を制限すると共に、カリウムをしっかりと食事から補給しておくことが重要になってきます。
ミネラルには壊れやすいものが多く、熱を加えたり水にさらしたりすると失われてしまう場合も少なくありません。したがって、野菜や果物を生で食べるほうが望ましいといわれます。果物のなかではバナナなどにカリウムは豊富に含まれています。
穀物では、玄米やライ麦パンなどにカリウムが多く含まれています。特に主食食べる量も機会も多いので、白米から玄米に変えたり、食パンをライ麦パンに変えれば、カリウム摂取量にかなり差が出てくるので効果的です。
